ロボット 2.0


ロボット 2.0
2018.11.29 言語:タミル 監督:S.Shankar 出演者:Rajinikanth、Akshy Kumar、Amy Jackson
タミル映画「Enthiran」、邦画題「ロボット」(2010年)の続編です。
2019年10月30日、大宮新都心にある映画館で観ました。
水曜日でレディースデイだったせいか、女性が多かったです。
でも全部で10人くらいでした。ポスターも無く、かなり悲しかったです。

ラジニはロボット工学博士の「バシー」と博士が作ったロボット「チッティ」の2役です。
ですが、私には、「バシー博士」、善良なロボットの「チッティ」、
ロボット三原則を無視した行動をする「チッティ2.0」、
そのミニチュアサイズ(1/10くらいか?)のマイクロロボット「クッティ3.0」
そして、バシー博士が精神をのっとられ悪人になる「悪バシー」と、5役だと思ってます。
ラジニの多彩な演技がすばらしかったです。
続編ですが、この映画だけでも楽しめると思います。
もちろん、前作を見ていたほうがもっと楽しいですし、
ラジニファンならば最高に楽しい作品だと思います。
<あらすじ>、
インドチェンナイで、スマートフォンや携帯電話が人々の手から空に飛んでいき、紛失するという事件が多発します。
そして携帯電話の販売会社社長や、電話基地局(電波塔)を所有する社長が殺害され、電波塔が多数破壊されました。
この殺人事件をバシー博士(ラジニカーント)と助手ロボットのニラ(ジャクソン)が調査します。

そこでバシーは「携帯電話紛失、関係者殺害事件対策」会議で、万能ロボット「チッティ」の再起動を希望します。
「チッティ」はバシーの発明した優秀なロボットですが、「ロボット3原則」に違反し人を殺害したことで、今は機能停止し博物館に展示されています。
しかし、前作「ロボット」でチッティに殺害された「ボーラー博士」の息子ディネンドラが反対したことと、
会議出席者の多くに、チッティの暴走を恐れる気持ちがあったため、「チッティ」復活の許可は下りませんでした。
結果、この事件には軍隊が対応することとなります。
バシーはそれでは不十分と判断し、秘密裏に「チッティ」を復活させることにします。

警察や軍隊が警戒する中、通信大臣が自分の携帯電話によって殺害されます。
そして、再建中の電波塔は大量のスマホや携帯電話に襲われ、破壊されます。
さらに、それら携帯電話は合体し、巨大な鷲、怪鳥となります。
チェンナイ州知事は、「次に殺されるのは自分なのかも知れない」と恐れたため、
「チッティ」の使用許可を出します。

バシーにより博物館から持ち出されすでに再起動していたチッティは、
巨大鷲に襲われ空に投げ出された人々を助けます。
郊外に巨大鷲を連れ出し、戦っているとバッテリーが切れそうになります。
チッティは電源を求め這いながらも、近くにあった宇宙研究所にたどり着きます。
この宇宙研究所は人類の正しい情報を宇宙に伝えるため「正の電磁波エネルギー」を使い、
宇宙へ情報を発信してました。
巨大鷲は「負の電磁波エネルギー」を持っていたため、この研究所に入ることが出来ず逃げ去ります。
この時、鷲の中に人の顔が見えます。
その人は、鳥類学者のパクシ・ラジャン(アクシャイ・クマール)であることにバシーは気がつきます。

鳥類学者のパクシは、鳥をとても愛しており人生を鳥類研究に奉げてました。
パクシは携帯電話やその基地局からの強力な電磁波が、鳥類に悪影響を及ぼすことを知り、
それを取り除きたいと思い行動しました。
携帯電話使用者や携帯電話販売会社社長、電波塔所有者、通信大臣等に、
電磁波による鳥類へ康被害を訴え、電波塔の数を減らすよう、電磁波の強さを抑えるように嘆願してました。
しかし、その願いは無視され、パクシの家の近くにまでも電波塔が建てられてしまいます。
この影響で、パクシの家にいる多くの鳥たちも、近くに渡ってくる鳥たちも全て死んでしまいます。
絶望したパクシは自殺してしまいます。
そのパクシの怨念(オーラ)と殺された鳥たち怨念(オーラ)とが合わさり、強力な負のエネルギーとなり、
スマホや携帯電話を操り、巨大鷲の形を作ったのでした。

この怨念(オーラ)からなる「負のエネルギー」が元凶と知ったバシーは、
「負」とは反対の「正」のエネルギーで対決することにします。
宇宙研究所にある「正の電磁波」アンテナの小型版を作り、
持ち運びできるようにトラックの後ろに装備しました。

そして、パクシの家に行きます。パクシの家はすでに、廃屋となっていました。
ここでバシーは、チッティやニラと共に巨大鷲と戦い、
トラックに積んだ小型版アンテナを使い、正のエネルギーによって、
負のエネルギーを無力化し、パクシの怨念(オーラ)を機械装置に封じ込めることに成功します。

バシーとそのロボット「チッティ」と「ニラ」は、この功績を多くの人から讃えられます。
それに嫉妬したディネンドラ(ボーラー博士の息子)は、
研究所に忍び込み、パクシのオーラを封じ込めた機械装置を盗み出し、
パクシのオーラを解放してしまいます。

解放されたパクシは、バシーに乗り移り、体を支配します。
乗っ取られたバシーは、携帯電話を使用する人々を攻撃していきます。
チッティは止めに入りますが、パクシを再び無力化し封じ込めることは、
自分を創ったバシーを殺すことでもあります。
バシーを傷つけることが出来ないチッティは、パクシに負け、破壊されてしまいます。
パクシは携帯電話を結合させ羽を作り飛び去ります。

ニラは1人、チッティを修理し、その中心に赤いマイクロチップ(レッドチップ)を入れます。
これは、前作「ロボット」で「ボーラー博士」がテロや戦争を目的として、
ロボットが殺人することを可能にしたものです。
このレッドチップにより、チッティは「チッティ2.0」となり、自らの複製を大量生産します。
さらに、ミニチュアバージョンのマイクロロボット「クッティ3.0」を作ります。

復活したパクシと大量の携帯電話は、サッカーの試合が行われ多数の人がいるサッカー場を占拠し、
人々をすべて消し去ろうとします。
そこにチッティ2.0が現れます。
パクシはバシーの姿になり、チッティ2.0を混乱させ倒そうとしますが、
レッドチップの入ったチッティ2.0はバシーが死んでもかまわないと思っているので、うまくいきません。

チッティ複製が大量にサッカー場に現れたため、パクシも自分の複製をたくさん作り戦います。
そして、 パクシは携帯電話の結合により巨大化します。
チッティ2.0も近くにある鉄製品や多くの複製チッティと結合して巨大化し戦います。
その途中チッティ2.0のバッテリーが切れそうになり、絶体絶命と思ったところ、
クッティ3.0が白い鳩に乗って現れます。

量産された複数のクッティがそれぞれ鳩に乗り、パクシを取り囲みます。
パクシは強力な電磁波によってサッカー場にいる人々を殺害しようとしていました。
このまま電磁波を放てば人だけでなく、鳩までも殺すことになります。
鳥を愛するがため、鳩を殺すことのできないパクシは、殺害を止めます。

その間に チッティは充電を終え、中指から弾丸を発射し、パクシを撃ちます。
撃たれたのはバシーの体なので、パクシのオーラはバシーから離れます。
負傷したバシーはニラに保護されます。

鳩を人質(鳥質?)に取られたパクシは、逆らうことも無くクッティ3.0に導かれるまま宇宙研究所まで飛び、
「正の電磁波」によって消滅させられます。

バシーは生きており、病院で治療を受けます。
チッティ2.0はレッドチップを抜かれて善良なチッティとなります。
最後にチッティとニラのダンスがあります。
<感想>
ロボット工学博士のバシーガラン(ラジニ)の研究室の外観は前作「ロボット」とほぼ同じですが、
研究室前にロボット「チッティ」の大きな上半身オブジェがあります。
大きなチッティ肌カバー(皮膚)無し!、それだけでも素敵な映像です。

バイクに乗った学生がスマホで会話をしている途中に突然、空中にスマホが飛び去ります。
運転しながらのスマホ、危ないです。
日本でも運転中のスマホは問題になってますが、きっとインドでも同じでしょうね。
チェンナイ州全域でスマホや携帯電話が空に飛んでいってしまいます。
このときに、都心部から田舎の牛飼いの人まで、ありとあらゆる人々がスマホや携帯電話を持ってます。
この様子が多岐にわたっていて面白いです。
リビングで家族(父、母、子供たち)がいるのに会話も無くみんなスマホに夢中って、同じですよね。
本当に携帯電話やスマートホンって誰でも持ってるよなぁと再認識しました。

あと、バシーの携帯電話も恋人サラと会話中に研究室の屋根を突き破って飛び去ってしまいます。
その時のサラとの会話に、「バシー博士、まだサラと結婚してないのか!!」と突っ込みたくなります。
また、研究室の屋根(壁か?)たかが携帯電話(スマホ?)に破壊されてしまうので、弱すぎだなーと。
そんなところも、楽しいです。

使用中の携帯電話だけでなく、販売前の運送中の携帯電話、スマホまでも飛び去ります。
電源のオン、オフは関係ないらしいです。
その運送中の商品を運ぶトラックの荷台が、
まさに飛び去ろうとしてる携帯電話(スマホ)によってガン!ゴン!と中から衝撃を受けるのですが、
その様がCGというよりも中に人が入っていて殴りつけているように見えて面白いです。
いや、絶対に中から人力で叩いていると思いますwww。

その後、携帯電話会社の社長や送電塔所有者、州の通信大臣などが殺害されます。
最初の社長は大量のスマホを口から体内に入れられボン!です。
次は、スマホが津波のようになって襲い、体をスマホに覆い尽くされねじり殺されます。
最後は1つのスマホが腹の中に入って内臓を食い破る感じでした。
スマホがたくさんあるとキラキラ光って綺麗ですが、それが襲ってくるのは怖いですし、
殺害シーンはかなり苦手です。

これらの殺人事件の犯人捜査にバシーが乗り出します。
「チッティ」の使用許可が下りるまえに、内緒でチッティを復活させてしまいます。
このとき、夜の博物館に盗みに忍び込むニラとバシーが楽しいです。
真面目な主人公バシーだけど、「正しい行いのためには多少の悪事はアリ!だよね?」
って感じがラジニ映画らしくて好きです。

飛び去った携帯電話を追跡した結果、
多量のスマホ、携帯電話が集まり、大きな鷲の爪となってバシーに襲い掛かってきます。
バシーはもちろん間一髪で助かります。
美しいニラに助けられるラジニ素敵です。もちろんニラも素敵です。美人です。

その後、スマホ対策に乗り出した軍は「大量スマホが形作る大きな鷲」に敗れます。
この巨大鷲は当初、影で現れ全貌を見せないので、それが迫りくる恐怖を感じさせます。
また、工事車両(クレーン車)や戦車に向かって、ぞろぞろと列を作り、地を這うように迫っていくスマホ群は、
アリのようで、気持ち悪いです。
このように攻められたら気がつくのが遅れるとも思いますし、
スマホ等に驚いて自爆する(人が人を殺す)様子も、さもありなんと思いました。

多くの人に無差別に危害を加えるようになった巨大鷲とチッティが対決する場面は、
ビルの中を疾走したり、工事用の大きな網使って、落ちてきた人たちを助けたり、
戦車を巨大鷲の腹の中で爆発させたりと大活躍です。とっても楽しいです。

パクシ対策の正の電磁波エネルギー発信アンテナの3個を後ろに装備したトラックが良い!です。
この戦うトラックのミニチュア玩具があったら欲しいです。
1/6ではちょっとでかいので、1/12サイズくらいであったらいいなぁと思います。

また、パクシに乗っ取られた悪バシーが、最高にかっこいいです。
悪役を演じるラジニって、最近は貴重ですよね。
破壊されたチッティの頭部を悪バシーが蹴ります。
頭をボールのように蹴り飛ばす行為はラジニの他の映画にもあり、苦手な場面です。

ラスト、サッカー場でのアクションはとっても楽しいです。
複数のマシンガンを円形に持ち撃ち放つ場面や、チッティ複製との合体などは、前作「ロボット」にもあり、
今回も見ることが出来たのでうれしいです。
また金属を磁石のようにくっつける機能は強化されたようでw、
近くにある、バイク、車、トラックと合体し、巨大チッティとなりました。
もちろん、巨大パクシとプロレスのように戦うのも、すっごく楽しかったです。

また、ミニチュアサイズ(1/10くらいか?)のマイクロロボット「クッティ3.0」が良い仕事してますよね。
鳩に乗ったクッティ3.0とっても可愛いです。
「クッティ3.0」の等身大フィギュア欲しいです。もちろん白い鳩も一緒に!!!

ラジニのダンスシーンは映画の最終での1曲だけでした。
これは幻想的でとてもすばらしかったです。

この映画の内容や流れを考えれば、複数曲を挿入するのは難しいのかな?と思います。
ただ、私のインド映画の楽しみの1つがダンスシーンなので、それが少ないのは残念でした。悲しい。。。

また、パクシ博士と鳥との触れ合いを描く挿入歌場面(ダンスは無し)では、たくさんの渡り鳥に感動しました。
最近は何でもCGで作れてしまうので、この映像もCGなのかな?とも思いますが、
でもインドならこういった渡り鳥がたくさん来る場所もありそうです。
渡り鳥飛来の知識が無いので、リアルなのか、CGで鳥の数を増しているのか、ちょっと気になりました。

ラジニのダンスシーンが終わった後に、
入院しているバシー博士とクッティ3.0の場面があるので、最後の最後まで楽しかったです。

さてこの映画、環境問題、電波(電磁波)障害についても一石を投じております。
自然、生態系を狂わしてまで、便利さ、経済利益を優先させることはどうなのか?と。
現在、高速に大量データ通信が可能となる5Gの導入促進がなされていますが、
人体、動物生態系への影響が懸念されています。
現に、オランダでは試験的に5Gを導入した結果、コマドリが大量死した事例があったため、
5G導入を中止したようです。

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