定価2300円:ビクターエンタテイメント(株)
ラジニ主演映画の主題歌集!ということで、喜んで購入してしまいました。
しかし、聴いてみてビックリ。本当にビックリするほど、音が悪いんです。
解説書に小さく、「一部ノイズが認められる個所がありますが、これはオリジナルマスターに起因するものです。予めご了承ください」
との記述はありますが、音が悪いのはノイズじゃなくオリジナルマスターそのものだと思います。
このCDのオリジナルは、一体どこから持ってきたんでしょう。
いくら古い映画の挿入歌を持ってきたとはいえ、今日、インターネット上で手に入るmp3ファイルだってもっと綺麗な音で聞くことが出来ます。
このCDに入っている曲は、どこかのサイトで一部試聴できますが、そちらは少しエコーがかかっていて、問題なさそうに感じました。
また、江戸木純氏によるインド映画音楽ガイド収録という、うたい文句にもだまされました。
CDのオビに収録となっていれば、ふつうCDの中に何か録音されていると勘違いしてもしょうがないと思います。
これなら、「江戸木純氏による解説書付き」としてくれた方が親切なのではないでしょうか。
あと、曲名がまちがっている個所があります。
インドの映画音楽の曲名は、大抵、歌い出しのフレーズが使われています。
きちんと確認する気があれば、まちがえる事は無いと思います。
普通に日本の会社が発売していて、それでお金とっているんだから、
いくらなんでも、収録した曲と曲名があっているかどうかくらい、ちゃんと確認してほしいです。
ただでさえ、日本でインド映画やラジニの情報を得ることは出来にくいので、間違が無いよう極力注意して欲しいです。
江戸木氏による解説でちょっと気になる所もあるので、違っている曲名の訂正も兼ねて、以下に私なりの解説をいたします。
よろしければ、読んで下さい。
村の祭り(ポンガル祭り)で、放たれた暴れ牛の首に巻かれた布を取る競技があって、ラジニが一番の暴れ牛から布を取り祝福されるところから、この曲が始まります。
江戸木氏は「この曲は「ムトゥ」そっくりのオープニングとエンディングに流れる主題曲だ」と書いていますが、この文章の意味がちょっと分かりません。
「ムトゥ」のオープニングは登場人物を絵で表現しており、この映画のオープニングは、村のお祭りの風景を実写で写しています。ですから、似てないと思います。
この曲では一部、ラジニが弟達と牛車に乗っている場面があります。
その後ろにたくさんの牛車を連ねているので、そのあたりの映像が「ムトゥ」登場ソングの「オルバン オルバン」に似ているといえば似ているかもしれません。
また、映画の中での曲の使われ方のことを言っているのであれば、似ているのかもしれません。
ラジニは、広大な土地で動物を捕まえて売る、ハンターの役。
この曲では逃げ出した子象を捕まえようと追いかけています。
この象が芸達者で、トランペットを吹いたり、お尻をふったりして可愛いです。
ヒロインのシュリデビィとのラブソング。
この曲では踊っているというよりは、歩いているだけといった感じです。
ヒロインのラクシュミを、車で警察まで送っていく時の曲。
車を運転するラジニのアップが多いけど、ボンネットの上に乗って踊ったりもしています。
「Billa」はアミダブの「Don」のリメイク作品です。
江戸木氏の西部劇調の歌という解説に?こういった曲を西部劇調というのだろうか。確かにラジニの服装はドクホリディぽくもありますが。
虎のマスクでの歌いだしを迷シーンとも書いてありましたが、アミダブの「Don」でも同じように、さらに派手な物を被って登場し、歌いだす場面があります。
この映画はカマルが主人公です。ラジニの役はカマル(ボーカル)のバンドメンバーです。
この曲は、カマルがライブをすっぽかした時に、ラジニが代わりに歌った曲です。
CDのオビに「ラジニカーント主演映画の主題歌を1枚にコンパイル」とありましたが、これは主演では無いし、主題歌でもありません。
江戸木氏は、この曲の説明を書いているので、多分この曲を入れる予定だったのでしょうが、
実際7曲目には、8曲目の説明にある曲、VASANTHAKALA NADHIGALILE ( ヴァサンダカーラ・ナディガリレー )/「Moondru Mudichu」(76)が入っています。
この「Moondru Mudichu」どちらかというとシュリデビィが主人公なのではないでしょうか。
また、この曲、ボートの上でカマルがハーモニカを吹きながら、シュリデビィと歌っているシーンで使われています。
その後、ラジニがさらに低い声で歌っているパートがあるはずなのですが、そこまでは入っていませんでした。
そんなわけで、この曲はラジニの曲ではありません。
8曲目は、RAMANIN MOGANAM/「Netrikkan」(81)です。
映画は見たことがないですが、この曲は「TOP 50 OF RAJINIKANTH」というラジニ映画の挿入歌を集めたものに入っていました。
この映画、女ったらしの父とそれをいさめる息子の2役をラジニが演じています。
この曲では、大学生の息子ラジニのラブソングで、手のひらに「I LOVE YOU」と書いてあって、それを同級生の恋人に見せるところから始まります。
踊っているというよりは、2人で公園を歩いているといった感じです。
こちらも、8曲目と同じ映画の挿入歌です。
この曲も上記の「TOP 50 OF RAJINIKANTH」に入っていました。
息子ラジニの婚約パーティーで、妹が古典舞踊を披露しています。
ソファーにラジニ(父親役)をはじめ、サラトバーブ(ムトゥのヤジャマン役)など10人以上座っていて、踊りを見ています。
息子ラジニは立っていて、手をたたいて調子をとったりしています。でも踊ってません。
この曲では、酔っ払った親父がネクタイを頭に巻くかのように、
ピンクの手ぬぐい?を頭に巻いて、お酒を飲んで、パーンを食べながら踊っています。
曲は違いますが、アミダブも「Don」で全く同じ格好で踊っています。
もちろん真似ているのはラジニの方です。
最後に、江戸木氏の解説の中に
「ラジニカーントのこの時代の出演作は本国でもビデオになっていない作品も多く、なかなか見ることが出来ない状態」
との記述がありますが、そんなことは無いのではないでしょうか。
実際、VCD、DVDとしてかなりの作品が発売されています。
しかし、何故、オリジナルマスターの音の状態が悪い、古い映画の曲ばかりを江戸木氏は厳選したのでしょう。とても不思議です。
追記:
江戸木氏の著書で「ムトゥ踊るマハラジャのすべて」(ジャパンミックス)がありますが、
それにも間違えを見つけたので、ついでに指摘しておきます。
P182に「ムトゥ」のリメイクの話があり、
「ヒンディー語映画「NAMAK HANAL」としてもリメイクされており、そちらはアミダーブ・バッチャンが主演したが大コケした。」
とあります。
この「NAMAK HANAL]は、「Namak Halaal」の事だと思います。
この「Namak Halaal」は1982年の映画ですし、ラジニ主演映画「Velaikaran」(87)の元作品です。
ラジニがリメイクするくらいビックヒットしてる作品です。もちろん大コケなんてしていません。
こんな事を書いていたら、アミダブのファンに怒られちゃいますよ。
実際大コケしたのは、「ムトゥ」元作「Thenmavin Kombath」(94)の監督、プリヤダルシャンが、そのままヒンディー語版で作った「Saat
Rang Ke Sapne」(98)です。
2006/11/26Up、2007/07/22一部変更。